TOUR2007 "cartoon KAT-TUN Ⅱ You"に想うこと[4]そしてKAT-TUNが帰ってくる

他のエントリで隠すことも考えたのですが...小細工をしている余裕はとっくの昔になくなっており,えぇい!そのままアップしてしまえ!と半ばヤケクソになって書いています。


[1]なかったことにはしたくない
[2]仙台で名古屋の経験を想う
[3]同じ空の下にキミがいる

これの続きで読んでいただけると嬉しいです。
でも,とにかく強烈に長いです。そして,ただの自己満足です。ごめんなさい(と,誰にともなく謝ってみる)。



うたいつづけるとき」の亀ちゃん

今回のコンサートの終わりは,いつも突然にやってくる気がする。「うたいつづけるとき」のイントロが流れ出して初めて,あぁもう終わりか...とふと我に返るような,そんな感覚。
そして,私が見ているときは,なぜか必ず,出だしのところで亀ちゃんが吹き出してしまって,しんみりとかいよいよこれで終わりという感じにならない。この日は,観客から「もう!いいところなのに!」という感じでブーイングが起こって,亀ちゃんが「ゴメン」と声に出して謝っていた。確か名古屋では顔の前で手を合わせて「あー,ホントにゴメン!」という感じの謝り方だったのだけど,今回は「雰囲気ぶち壊して,俺も悪いとは思ってるよ。思ってるけど,もうやっちゃったんだから,しょうがねぇじゃん」と,うっすら開き直り気味の「ゴメン」だった(笑)。


これがただのコンサートツアーだったら,私も大ブーイングしていたと思う。しかも,冷静に考えれば毎回雰囲気をぶち壊されているわけで(笑),普通だったら確実にブーたれているところだ。
でも,今回のツアーに限っては,この小さなミスにいつも救われていた気がする。“今はまだ,完璧なものを作り上げるつもりないんだ”と亀ちゃんが言っているような気がしたから。仁さんの入る余地を残してくれているような気がしたから。


都合よく解釈しすぎだってことは,わかりすぎるくらいわかっているけど,なんとなく,ね。


次は6人で...

最後の挨拶では,聖が口火を切る形で「ようやく6人揃ったので」と言い,その後もみんなが口々に「これからもよろしく」「また会いましょう」と言いながら舞台下に消えていった。本当に嬉しそうだった上ぼを除いて,他の3人は,嬉しそうというより,まだ何となく立ち位置を決めかねているようだった。肩の荷が下りて安堵している空気と,ほんの少しだけ不安そうな感じとが混じっているように見えた。


挨拶のラストは亀ちゃん。「今日は楽しかったです。」とにっこり笑って,その後一呼吸置いて,続けた。「これまでいっぱい迷惑をかけてしまって申しわけありませんでした。今回は5人しか出られなかったけれど,今度はね」と言葉を切って,舞台下を覗き込む。あぁ,そこに全員揃っているのだろうなと思わせるしぐさで,観客から歓声が飛んだ。そして「次はちゃんと6人で作ってくるので,これからも見守っていてください」と締めくくって舞台下に消えていった。


このとき観客の多くは,おそらく舞台下に揃っているであろう6人に思いを馳せたのだと思う。でも,私はそのこと以上に,“次はちゃんと6人で..”という亀ちゃんの発言を心に刻んでいた。そう,5人であることをずっと受け入れられずにきた,もしかしたら心の狭いファンである私に,“俺らもこの5人のステージが完成版って思ってたわけじゃないから”と言ってくれたような気がしたから。


これまた,とてつもなく都合のいい解釈だとわかってはいたけれど...ね。


亀ちゃんがリフトに乗ったまま,舞台に吸い込まれていくと,ほどなく“仁コール”が起こった。完全に頭が5人モードになっていたので,何となく乗り切れないまま,メンバーの登場を待つ。
いつもはわりあいさっと出てくるところだが,今日は何となく時間がかかる。もうそこにいるはずなのに。じらすなぁ,KAT-TUN


そして,KAT-TUNが戻ってくる

とうとうリアフェの前奏が流れた。まだ舞台は無人のまま。それこそ飽きるほど聴いた亀ちゃんの歌いだしに,これまた慣れ親しんだ仁さんの声が重なったとき,会場はどよめいた。“キャー”じゃなくて,“おぉ”という感じ。


あぁ,帰ってきたんだな...と思った。事務所からの仁さん帰国の一報をメールで読んだときよりも,記者会見で6人の姿を見たときよりも,J-webの仙台公演レポを読んだときよりも,ずっとずっと胸に迫ってくるものがあった。まだ声を聴いただけなのに。


あぁ,生きててよかった,と思った。
大げさに聞こえるかもしれないけれど,自分でもあきれるほど強く,あの声を聴けたことに感謝した。


そして,6人が舞台の下からせりあがりで登場。おそろいのツアーTシャツで。ほぼ一年ぶりに見たリアルな仁さんは,心なしか日焼けして,身体つきも逞しくなっているように見える。大勢の観客とまばゆい光に,まだ慣れていない感じ。何となくまぶしそうな感じ。久しぶりに会う彼はそんな感じに見えた。「アスファルトを蹴り飛ばして」と歌い始めた仁さんの姿がスクリーンに抜かれると,またどよめき。舌打ちも仁さん。ここでようやく歓声が「キャー」に変わった。


歌っている間は,聖と仁さんがジャレるイメージが強かった。
例えば,バクステで全員が一列に並んだ中で,リアフェのRAP詞を仁さんが頑張って歌うとか。腰を折るようにして,文字通り「頑張って」歌っていた。「はいはい,歌いたいんだろ,歌っていいよ」な感じの聖と,いかにも頑張ってます風な仁さんが対照的で微笑ましかった。
また,例えば,ノーマターマターで,歌ってる仁さんを聖が後ろからどつくとか(笑)。仁さんは歌えずに「え?!」と絶句。でも,ぱっと後ろを向くと,いたずらっ子っぽい顔で笑っている聖と抱き合っていて,あー,いいなぁと思った。


聖だったかゆっちだったかが曲の途中で「仁,おかえり!」と声をかけ,仁さんも替え歌で「みんな,ありがとう!」と答える。その後も,仁さんはメインステージの両脇まで走っていき,深々とお辞儀をしたり,センターステージからスタンド席に向かって大きく両手を振ったりしていた。これまでの仁さんからは想像もつかない運動量だ。それに,あんなに客席をしっかり見る仁さんを見るのも初めてだった。サングラスを持ってはいたけれど,一度もかけないで,かなり伸びた前髪をカチューシャみたいに上に上げるのに使っていた。節目がちになることもなかった。彼の抜けるような自然な笑顔を,初めてしっかり見た。
そして,いろいろな方面に目を向けながら,彼は何度も何度も「ありがとう!」と繰り返していた。まるでそれ以外の言葉が自分の中にはないかのように。


「5+1」の現実は予想以上に重くて

メインステージに戻ってきたところで「いや〜,お疲れさまでしたね」と仁さん。すかさずゆっちが「お前出てないだろ」とツッコミを入れると,「いや,途中で何となく出てた。Uの人形に入ってたの,俺だから」


あぁ,やっぱりね,と思った。上ぼのからみっぷりがどう考えても尋常ではなくて,もしかしてって思っていたから。
でも同時に思った。まだ“5+1”なんだよな...と。仁さんは,ぬいぐるみの中に入っているべき人でもなければ,最後にコールされて出てくるだけの人でもない。あの5人が作り上げたステージは,最後の仁さんの登場で「全部持っていかれる」ほど軽いものではなかったと,私は思う。
まずは仁さんが自らの意志で帰ってきてくれたことに感謝すべきで,それを受け入れてくれたメンバーにも感謝すべきで,それ以上のことを願うのは贅沢すぎるってことくらい,わかっていた。それでも思わずにはいられなかった。


ぬいぐるみに入ってる場合じゃないだろう。
最後だけ出てきてる場合じゃないだろう。
仁さんが歌う姿を,あの匂い経つような色気を,待って待って待って,待ってたんだから。
おかしくなるんじゃないかと思うくらい待ってたんだから。


オープニングから登場してくれないと,ダメなんだよ。


Wアンコールは"Will be All right"

2曲終わってメンバーがはけても,当然のことながら拍手は鳴り止まない。今度は「アンコール」を連呼。退場を促すアナウンスが終わりまで流れてしまったのでちょっと心配したけれど,Tシャツさえも脱いだ(!)メンバー達が再度登場してくれた。聖が「もう牛タン弁当食って帰ろうと思ってたんだけどさ,みんながうるさいから出てきちゃったよ」と客席に語りかけ,観客がどっと沸く。そして「6人で作った曲があるんだよな。それ,歌っちゃいますか?」。バックバンドに「OK?いける?」と声をかけたあと,もう一度観客のほうを向いて「"Will be All right"」と曲目を告げた。


ここで仁亀トロッコ登場。亀ちゃんが先を行く仁さんに,手前にあったトロッコに乗るように指示出しして,それに対して仁さんが,後ろを振り向きながら,そうじゃなくてもうちょい外側じゃない?というように応えていて,そのやり取りが本当に自然に展開していて,新鮮だった。
亀ちゃんはトロッコの手すりに腰掛けるようにして,リラックスを絵に描いたような格好。仁さんはトロッコの上で腰をかがめてファンと握手したり,亀ちゃんを見上げていたりしていた。仁亀のバランスがいつもと全然違っていて,それがまた新鮮だった。


そして,仁さんは,この曲もまた,絶叫するみたいにして歌っていた。そうすることでしか自分の気持ちを表すことができないかのようだった。仁さんの実力から考えたら,ベストの歌声ではなかった。いつでも冷静に歌う仁さんらしからぬ歌声だった。でも,その分,彼の気持ちは痛いほど伝わってきた。彼には珍しく,火傷しそうにソウルフルな歌声だった。


聖が「上も下も右も左も,ありがとーっ!!!」と絶叫し,じゅんのがスタンドの上のほうにオーバーアクションで手を振る。そういう今までとちっとも変わらない部分と,そういうメンバーの中で,両手を大きく振ったり高く掲げたりしながら「本当にありがとうっ!」と今までと全然違うリアクションを見せる仁さんがいて...
どういう風に感じるのが正解なのか,よくわからなかった。まるで感情の針が振り切れてしまったみたいだった。ただひたすら,穴のあくほど仁さんを見つめ,6人を見つめていた。


とうとう本当のラスト。亀ちゃん,じゅんの,上ぼがわりあいあっさりはけて,続いて聖,ゆっちがはけて...めずらしく仁さんが最後まで残った。そして,客席のほうを振り向きながら,ちょっと恥ずかしそうに,きゅっきゅっと指を折るVサインをして,“じゃあね”と言ってくれた。


おかえり,KAT-TUN

「5+1」という状況は,予想していたよりずっと重たくて,当たり前かもしれないけれど,いきなり元通りというわけには行かなかった。ホントに元通りになるのかなと,ちょっと不安になったりもした。
でも仁さんが,変に大人しかったり遠慮したり,ブランクを埋めるために頑張ってしまったりするのは,どれもまったく彼らしくない言動のように思えて,本人でもないのに途方にくれたりした。


ちょっぴり複雑な思いを抱きながら会場を後にして,でも,帰りの新幹線の中では,気づくと彼らの姿や表情を思い返していた。タンクトップで踊る聖,しっとりと歌い上げるゆっち,相変わらずロックな上ぼ,何度思い返しても笑えるじゅんの,どこまでも優しい亀ちゃん。そして,今までにない自然な笑顔を見せて活き活きとリアフェを歌う仁さん。過去の映像ではなく,さっきまで目の前で繰り広げられていた彼らのパフォーマンスが,本当に鮮やかに思い返されて,時間が経つのが本当に早かった。


それは,怖いくらいに幸せなことだった。
ファンとしては,それで十分なのだった。


おかえり,KAT-TUN
これまで,ありがとう。
そして,これからも,ずっとよろしく。