不幸ってそんなに軽いものなのか?

けっこう早く帰れたので,「ひと恋」をまとめて全部観ました。先ほど終了。ようやく追いつきました〜。かなりお腹いっぱいです。


えーっと,1話ごとの感想は,まあ後ほど書けたら書くことにしますが,全体を通じての感想。


毎回,なんというか,すごくハッピーな雰囲気でお芝居が成立しているのに,ラストの弘人のナレーションで「今はこんなですけど,そのうち不幸になります」って宣言するのはどうかと思うのですけれど...
ハッピーなストーリーのままだって見る人は見ると思うんです!...つーか,どう不幸になるか確かめるために見る人っているのかなぁ。そんな形で引っ張らなくても,いいんじゃないかと思うんですけど。続けて観たせいかもしれませんが,ラストのナレーションがえらく気になります。


まあそれは置いておくとしても,もっと気になるのが,立て続けに起こる事件や明らかになる事実。正直,先の展開をドラマチックにするためだけに存在しているような気がして,ちょっと途中で引き気味になってしまいました。


別にラブストーリーにリアリティを求めるつもりはないけれど,でも,現実を考えたらね,病気で先の不安があるとか,子供を産むのは無理かもしれない,とか,それだけで十分すぎるほどに一大事なわけですよね。病気って他人になかなか言えなくて,独りで不安とか悲しみを抱えている人ってすごく多いと思うんです。


そういう人たちに対して,失礼じゃないのかな,あのドラマ。身分違いの恋やら若さゆえのすれ違いみたいな話と,例えば病気とか人生観とかを一緒くたにしちゃうのって,そのいずれもを「不幸のパーツ」でしかないって宣言しているように思えて仕方ないんですよね。


身分違いの恋っていう設定自体は,いったいいつの時代の話だよ,と思ったりはするけれど,まあいいと思うんです。ファンタジーだって思って観れば,ちょっとくらい古くたって,まあいい。そういうもんだと思えば,それはそれでアリだろうと思う。北川作品っていつも同じだっていう批判もあるけれど,私は今までまともに観てこなかったから,別に気になりません(ジコチューで申し訳ない)。だから,再生産だろうが,別にかまわない。実際には身分違いの恋で一番悲惨なのって,甲と裕子が直面しているみたいな,自分達でダメかもって実感しちゃう例だと思いますけど,まあそれについても,あまり多くを語るまい。
問題はそれ以外の部分ですよ。病気を不幸のパーツにするのは,これはフィクションだろうがなんだろうが,まずい。明確にまずい。少なくとも,私は,そう思います。
北川さんって,昔からハンディキャップを好んで題材にする人だとは思っていましたけど,でもそういうハンディキャップをマジメに中心に据えてお話を組み立てる人だと理解していたので,何だか今回のは意外な気がします。


それとも,ハッピーエンドだったら,そういう立場にいる人たちの希望にもなれるからいいのかなぁ。
終わり良ければ全て良しになるのかなぁ...


亀ちゃんや綾瀬さんが熱演で,すごくいいお芝居をしていると思うので,よけいそういうところが気になります。
特に,亀ちゃん,また一段とお芝居の腕を上げているように思うので(怒るところとか,ホントにリアルにやるようになったよなぁ),あんまり悪く言うのは気が引けるんですけど...