"Yellow Gold Tour 3011" at Saitama Super Arena:[1]“緊張”の裏にあるもの

ソロコンに行く時は,いつでも緊張する。たっちゃんのマウピライブでさえそうだった。KAT-TUNのライブなら,そもそも6人がバラバラな個性の持ち主なんだからファンだっていろいろいるよね,と勝手にエクスキューズできる。でも,ソロコンは,原則その人を一番に思っている人達の集まりなはずで,エクスキューズができない。逃げ場がない。毎回,「亀梨ファンですが,すみません...」みたいな気分になる(苦笑)。


それにしても,今回の緊張は度を越していた。我ながら笑ってしまうくらいに。でも,そこまで緊張してしまう理由は明確で,それは自分が仁さんファンでないからではなく,別のあることを恐れていたからだった。


私は,仁さんの作りだす音楽が好きだ。誤解を恐れずに言うなら,KAT-TUNの他の誰よりも。歌が上手いとかダンスが見栄えがするとか,そういうレベルではなくて,彼の持つ音楽性とでもいうべき何かがすごく好きだった。安心して見ていられた。無条件に信じることができた。彼のセンスは,私にとって絶対だった。だから,そういうのがいっぱい詰まったコンサートを見たら,KAT-TUNではなくて仁さんが良いと思ってしまうんじゃないかと心配していた。つまらないことを,と思われるかもしれない。でも,けっこう本気で恐れていた。
もう一つは,全く逆で,今まで無条件に信じていた仁さんの音楽性は,KAT-TUNのAとして存在していたからこそのもので,ソロになったら全然違う雰囲気になってしまうんじゃないかという心配だった。「わかるやつだけ相手にしてやる」というステージだったら,どうしようと思った。そういうステージだったら絶対に取り残されると思った。大好きだったからこそ,ついていけなかったらダメージが大きいだろうなと思った。


他人から見たらアホみたいな悩みでも,当人とすれば至って真剣だった。でも,こればっかりは聴いてみないことにはどうしようもない。逆に言えば,コンサートに参戦すれば,嫌でも答えは出るはずだった。そう思ってもやはり緊張はおさまらなかった。
残念ながら音源がないので,音楽を聴いて気を紛らすこともできない。本を持って行こうと思ってはみたものの,本棚の前に立ってみて,自分の持っているどの本であれば,彼の世界観にマッチするのか,さっぱり見当がつかないことに気づいた。ひどく時間をかけて悩んだ末に,江國さんのエッセーを持っていくことにした。彼女の書く文章の正直さ,繊細さ,浮世離れしたスタイリッシュさが,仁さんに通じるような気がしたから。これまで,KAT-TUNと江國さんって私の中では近いところにある存在だったのだけど,それは仁さんに負うところが大きかったのだということに今更ながら気づかされた。


事態はますますまずい方向に向かっているように思えた。今更ながら,5+1ということをあれこれ考え始めてしまいそうだった。