TOUR 2007"cartoon KAT-TUN ? You"に想うこと[2]仙台で名古屋の経験を想う

さすがに大阪公演も終わったこの時期に仙台公演のレポというのも恥ずかしいので,今回のツアーで感じたことを全体的に書いていく形にしたいと思います。


最初にお詫びしておきます。
モーレツに長いです。そして,暗いです。
“コイツのことだからかなりダメダメだろうけど,まあ仕方ない,読んでやるよ”という心の広い方だけ,続きをお読みいただければと思います。


言い訳ついでに(!)もう一つ書くと,もう今はすっかりスッキリ復活しています。今回の件をすでにネタにしているKAT-TUNメンの域に達するのはまだ難しそうですが(みんな,切り替え早っ!),少なくともネガティブではありません。ちょっと前には,こんなどんよりネガティブな日もあったらしいよ,くらいにお読みいただけると,とても嬉しいです。


このもやもやを吹き飛ばせ!

日曜日の仙台は本格的な雨で,しかも寒かった。自分が悪条件にめっぽう弱い性質であることは十分自覚しているので,外で待つのはムリ!と判断し,開場と同時に入場。入ってしまったら,あとは待つしかない。ただひたすら待った。


スタンド席に座って,アリーナ席を見下ろしたり,ステージを眺めたりした。時間が経つにつれて徐々に埋まっていく客席を眺めながら,私はなぜここにいるのだろう,ということを考えたりもした。そして,名古屋公演のことを思い出していた。


仙台公演に行くことを決めたのは,その週が始まってすぐのことだった。名古屋公演を二度も観ながら,どうしても腑に落ちなかった。デビューツアーの印象が強すぎたのか,何を見ても“なんか違う”と思ってしまって,どうにも居心地が悪かった。この居心地の悪さは,5人であることに起因しているのか。それとも何か別の理由があるのか。そういうもやもやした感情を自分の中にうまく収めるまでは,せっかく発売されたデビューツアーのDVDを見られないような気がした。だから,仙台に行くことに決めた。


合言葉は"LOVE & NATURAL"?

今回のコンサートは前回のツアーとは全く雰囲気が違っていた。
前回は,6人が発するオーラや火傷しそうなくらい熱いプロ意識に,ただただ圧倒されていた気がする。そして回数を重ねるごとに目に見えて強まる連帯感に,やっぱりKAT-TUNはこの6人だから最高,という思いを強めた気がする。今思えば,彼らはかなり背伸びをしていたのだろうけれど,私は,そういうちょっぴり頑張っちゃってる感じの彼らがとっても好きだった。
でも,今回はそうではなかった。"cartoon"をコンセプトにしたというだけあって,随所にコミカルな要素がちりばめられている。スクリーンに映し出されるメンバーの写真も,のっけから変顔だ。


威圧感とかプロ意識とか,そういう硬い話は今回はナシ!
“セクシー&ワイルド”は今回は封印!
コンサートなんてお祭りみたいなもんなんだからさ,楽しもうぜ!


そんなメンバーの宣言が聴こえるような気がしたくらい。誤解を恐れずに言うなら「今回は,ムリしない。頑張らない」と決めたようなステージだった。どこまでも等身大で,どこまでも自然体。亀ちゃんでさえもが,そうだった。というより,亀ちゃんが特にそうだった。
観客のリアクションも,ガラが悪いという悪評を思い出さずにはいられないものだった。MC中だろうが曲の途中だろうが前後の見境なしに5人の名前を叫び,トロッコが近くにくれば,そこめがけて押し寄せる。でも,KAT-TUNのみんなは動じていなかった。あまりの勢いによろけそうにはなるものの,それでも押し寄せるファンに優しく応えている。「手ひっかかれそうになった」(聖)「俺,ボタン取られた」(亀)とMCで申告するも,まあこんなもんだろうと思っているかのように,落ち着いている。
パフォーマンスもファンへの対応も,とにかく全てに対してナチュラルな姿勢を崩さないメンバーを見て,漠然と,あぁ,これがKAT-TUNのコンサートなんだと思った。デビューツアーから受けた印象とは全く違うけれど,あちらのほうがちょっと特別だったのかもしれない。


そして,そういう5人の姿を見て,ふと“LOVE & NATURAL”という言葉を思い浮かべた。それは,仁さんが好んで使っていた言葉で,彼を評するときによく使われる言葉でもあった。かろうじてそんなところに仁さんの存在を感じたりした。「俺らが頑張りすぎちゃうと,あいつのいる場所なくなっちゃうじゃん?」という5人の声が聴こえるような気もした。


今のまま落ち着いてしまうことへの恐怖

今回の構成では,オープニングから"SHE SAID..." "WILDS OF MY HEART" "Real Face"とおなじみの曲が続いて,4曲目で"僕らの街で"が入る。仁さんのパートはじゅんのや上ぼ,聖が順番に担当している。"WILDS OF MY HEART"の出だしでは亀ちゃんが二度歌っていた。うまくアレンジしてあって,仁さんの不在はテレビで見るときほど気にはならない。
それでも,「僕らの街で」に入ったところで,ちょっとほっとする自分がいた。オリジナル曲の別アレンジを,それも生で聴くのはやはり痛みを伴うものだったし,思ったほどではなかったにしても違和感があったのは確かだったから。でも,同時にこうも思った。5人の曲ばかりになったら,違和感さえも感じなくなっちゃうんだな,と。


以前から歌っている曲で仁さんの不在を感じることはあっても,ステージそのものは5人で十分成立していた。というよりむしろ,今までKAT-TUNのみんなから感じられた遠慮や迷いのようなものがすっかり消えて,バランスがとれていた。彼らがとりあえず5人でやっていくことを決意したようなステージに見えた。


仁さんが帰国したとき,マスコミはこぞって彼を持ち上げた。2ndアルバムの売上を「赤西効果」だと言い,戻ってきた仁さんのことをすっかりパワーダウンしたKAT-TUNの救世主だと言った。
けれど,それは少し(...いや,かなり)間違った解釈だと思う。
名古屋の時点で私が感じていたのは全く別のことだった。仁さんがいなくてもKAT-TUNは十分すぎるほど立派なステージとアルバムを作ってきた。“パワーダウン?誰が?”だ。意味合いが全然違うので比較しにくいけれど,アルバムの出来だけ見たら,おそらく今回の"cartoon KAT-TUN ? You"のほうが"BEST OF KAT-TUN"より良い。頑張りすぎたり,詰め込みすぎたりしていなくて,とてもうまくバランスがとれている作品だと思う。
だから,ここに仁さんがいないのが,純粋に残念だった。彼がいたら,どんなソロを入れてきたんだろう。彼がいても,やっぱりこういうコンセプトとか選曲になったんだろうか。
もう一つ痛切に感じていたのは,焦りだった。このどこに仁さんが入る余地があるというのだろう。早く戻ってこないと,仁さんの居場所がなくなってしまいそうに思えた。仁さん本人でもないのに,ものすごく焦っていた。



そんな名古屋での経験を,仙台の客席でぼんやりと思い返していた。そして,あぁ,あのときはホントにバカみたいに焦ってたなぁ,と思った。仁さんが帰ってきた今なら,メンバーの落ち着いている様子も,全然別の解釈があったと思えるけれど,あのときは,とうとう覚悟を決めちゃったのか?とまで思ったもんなぁ...
でも,仁さんは帰ってきた。出かけたときと同じように,本当に唐突に帰ってきた。そして,今日のステージでも姿を見せてくれるらしい。
夢にまで見た仁さんの復帰を,この目で確かめることができる。それはひどく贅沢なことであるはずだった。でも,前日の仙台公演のレポをJ-webで読んで,電車の中で涙をこらえるのに苦労したくらいなのに,実際に会場に入ると何だかピンとこなかった。嬉しくて仕方ないはずなのに,全然実感がわかなかった。